俺様社長の飼い猫
怖くて逃げ出したはいいが、財布も無く、靴も履いておらず、これ以上、もう、どうしていいか、わからなかった。

そんな時、彼が私を見つけた。


考え事をしている時に、突然声をかけられた。

「…おきてたのか」
「…はい…あの」

驚き過ぎて、しどろもどろになってしまった。

そんな私を見て、彼はフッと笑う。
その優しい微笑みに、緊張がほぐれていく。

「…スズ」
「…なんですか?」

「オレは、紫音(しおん)」
「…し、おん?」

私の言葉に頷いた。

「オレの名前だ」
「…ぁ」

ハッとして、紫音を見る。

紫音…素敵な名前だ。
容姿端麗な彼に、ピッタリの名前だと思った。
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