だって好きだから
八〇〇メートルで勝負しよう。
昨日、私はそう提案した。
拓馬と私しかいないグランドで、少しだけ頬を赤らめながら。
私に告白してきた、拓馬を目の前にして。
佐藤拓馬、それが告白してきた相手。
同じ高校で三年間、陸上部で共に練習を重ねてきた同級生。
私は黒髪だけど、拓馬は色素の薄い茶色い髪をしていて、
学校から駅までは一緒なのに、電車の方面が違ってて、
拓馬はケーキを食べるときココアだけど、私は紅茶で、
私は四〇〇メートルが専門で、拓馬は長距離。
……ともかく、私は以前から拓馬が好きだった。
何でも気兼ねなく話せ、
いつもオーバーなリアクションをとって、
何かあれば、少ししつこいくらいに私を心配してくれる拓馬が、ずっと好きだった。
そんな彼が昨日、つきあってくれ、そんな言葉を私に向かって口にしたのだ。
正確には、
「俺が『つきあってくれ』っていったらさ、詩穂どうする」
そんな、どこか中途半端なものだったけど。
だけどそれは、確かに私が拓馬に一番いってほしい言葉であり、また、最も聞きたくない言葉だった。
昨日、私はそう提案した。
拓馬と私しかいないグランドで、少しだけ頬を赤らめながら。
私に告白してきた、拓馬を目の前にして。
佐藤拓馬、それが告白してきた相手。
同じ高校で三年間、陸上部で共に練習を重ねてきた同級生。
私は黒髪だけど、拓馬は色素の薄い茶色い髪をしていて、
学校から駅までは一緒なのに、電車の方面が違ってて、
拓馬はケーキを食べるときココアだけど、私は紅茶で、
私は四〇〇メートルが専門で、拓馬は長距離。
……ともかく、私は以前から拓馬が好きだった。
何でも気兼ねなく話せ、
いつもオーバーなリアクションをとって、
何かあれば、少ししつこいくらいに私を心配してくれる拓馬が、ずっと好きだった。
そんな彼が昨日、つきあってくれ、そんな言葉を私に向かって口にしたのだ。
正確には、
「俺が『つきあってくれ』っていったらさ、詩穂どうする」
そんな、どこか中途半端なものだったけど。
だけどそれは、確かに私が拓馬に一番いってほしい言葉であり、また、最も聞きたくない言葉だった。