午前0時の恋人契約



「面倒くさい!?アンタねぇ……そもそもアンタが持ってきた依頼なんだから、資料くらい自分で取りに来なさいよ!いちいち送料かけさせないで!」



こ、怖い……!!

舌打ちをして通話を切るその女性の剣幕に、思わず引いてしまう。

けれど、後ろに一歩コツ、と下がった足音から私の存在に気づいたらしく、その目はこちらへと向いた。



「あら……お客さん?」

「えっ!?あっ、えとっ」

「客なの?客じゃないの?どっちなの?」



警戒されているのか、『はっきりしなさいよ』といった目つきで女性は問いかける。その目つきが、また怖い……!



「あ、あの!かっかかか彼氏をレンタルしたいのですが!!」



声が裏返りながらも勇気を出して言うと、それまで睨むような目をしていた女性の顔つきは一変し、にこっといい笑顔を見せた。



「あら、お客様ね!いらっしゃいませ!中にどうぞ!」

「お、お邪魔します……」



その態度の豹変の仕方もまた怖い……!



本当に、大丈夫かな。

心の中は不安で溢れ、恐る恐るドアの向こうへと踏み込んだ。





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