午前0時の恋人契約



「抱えてることがあったらなんでも話して、ね」



そう微笑んでくれる桐子さんの優しさは、どこか見た記憶のある安心感を感じさせて、言葉をこぼしてしまう。



「……ご、ごめんなさいっ……」

「え?」

「私、お客さんの立場で……なのに、貴人さんのことを、好きになってしまったんです……!」



『好き』、初めて声に出した声に、気持ちはたかぶりまた涙が出そうになってしまう。

だけど今は必死にこらえて、想いをきちんと伝えるんだ。



「最初はそんなつもり全然なくて、他人でいたかったからレンタル彼氏を選んだのに……なのに、一緒にいるうちに、貴人さんを想うとドキドキして、他の人にも同じようにしてるかと想うと苦しくて……」



上手く言葉はまとまらない。けれど、桐子さんはなにも言わず耳を傾けてくれる。



「でも今朝、貴人さんと桐子さんの電話を聞いてしまったんです……」

「今朝?あぁ、アタシが貴人のレポートせっついた時の」

「はい……そこで、貴人さんに私は客だって線引きされて、それが当たり前のことなのにつらくて」



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