午前0時の恋人契約



「……そういう条件でレンタルしたのに、段々と欲張りになっていくから、困る」

「欲張り、に……?」

「涙は、俺だけに見せてほしいよ。笑顔だって、独り占めしたい。俺だけの、すみれでいてほしい」



じっと見つめる熱い瞳には、嬉しさに泣き出しそうな自分の顔が映る。



「この間のキスも、今この瞬間も、仕事なんかじゃない。最初から全部、お前を好きな俺の計画」



計画、そう言って笑うと、その唇は額にキスを落とした。



全てが、貴人さんの計画だった。だけど、そこで自分が動いたことで、結果は変わることが出来た。

俯いてばかりいた自分が、前を向けて、こうして愛しい人の腕の中でその想いを知ることが出来る、幸せを知る。



「じゃあ私、貴人さんのこと、好きでいてもいいんですか……」

「当然。寧ろ好きでいてくれないと、困る」

「貴人さんのそばで、貴人さんの恋人でいい……んっ」



まだ信じられず問い詰める私に、それ以上の言葉を塞ぐように貴人さんはキスをした。

重なる薄い唇が、彼の愛情を伝えてくれる。



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