午前0時の恋人契約
「……疑わずに、俺の言葉だけ聞いておけ」
微かに離れた唇から囁かれるのは、凛とした表情の彼からの甘い想い。
「好きだ、すみれ」
好き、そう貴人さんが気持ちを言葉にして伝えてくれる。
驚きと戸惑いに、また『私が』『私なんて』と否定的な言葉が出てしまいそうになる。
けど、今だけは素直に信じたい。
想いを、抱きしめたい。
「……はい、」
応えるように頷くと、その腕はさらに力強く抱きしめてもう一度深いキスをした。
頭上に光る街頭の時計が、午前0時を通り過ぎる。
だけど今日からのふたりは、この瞬間も寄り添い抱きしめ合う。
痛いくらいに強く
仕事でも、仮でもない、恋人のあなたと。