午前0時の恋人契約




私の父、園崎大吾は『ネクサス・ティーン』という大手インテリア会社の社長を務めている。



……まぁ、父親といえど私が幼い頃に両親は離婚し、一度私は母に引き取られているので名字は違う。

さらにその後母の元を離れ父のもとで暮らすことになったものの、その頃から国内や国外に出張ばかりであまり家にいなかった。つまり、あまり父娘としてすごした記憶はない。



父のコネを使うこともいやだったから父の会社とは無関係の業種に就職をしたし、自立したい気持ちもあったから、就職を機に実家を出てひとり暮らしを始めた。

離れて暮らしたら段々と疎遠になってしまうかと思いきや、父は自分がひとり暮らしになってから妙に寂しくなってしまったらしく、度々こうして時間ができると『食事にいこう』と誘ってくるのだ。



急な誘いにはいつも戸惑ってしまうけれど、そうやって私のことを気にかけてくれたりするところは、この歳になっても嬉しい。

夜に約束が入ったなら尚更遅くまでは残業できない。気合いを入れて仕事に取り掛かった。





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