午前0時の恋人契約
「す、すみません……調子に乗りました」
「なんで謝ってるんだよ。いいだろ、笑いたい時に笑うのが一番だ」
そんな私に、彼はつないでいた手を離し、その手でくしゃくしゃと頭を優しく撫でてくれる。
「人の顔色見てみせる笑顔より、そのままの表情のほうが絶対いい。そのままでいい」
優しい声と、包むような手。向けられる微笑み。それら全てがあたたかい。
顔色を気にしたりせず、そのままでいられる。そんな私を、受け入れてくれた。
『そのままでいい』なんて、彼のくれた言葉が嬉しい。
「ありがとう、ございます……」
嬉しい、溢れるその気持ちを表すように微笑みがこぼれる。
過去の過ちを繰り返したくない、誰かに嫌われたくない。臆病な心は、今も必死にそう願う。
けれど、触れた彼のあたたかさになにかが変わろうとしている。
そんな気が、したんだ。