口元に微笑みを
私が中学で演劇に目覚めていた頃、千花はというと、弓道部に所属していた。しかも部員のなかでも群を抜いて強く、個人で関東大会ベスト3にまでのぼりつめたのだ。
弓道の全国大会に出られるのは関東大会で2位の選手までだった。千花も惜しくも逃した、とはいえ個人で関東3位など、私とは比べ物にならない結果である。
千花を見ていると、はぁ、なんだかやりきれないな、とたまに思ってしまうのが私の悪い癖だ。こんなことを思っているからモテないんだよなぁ……はぁ……。
「ゆうちゃん?」
< 5 / 7 >

この作品をシェア

pagetop