コート〜後ろ姿〜
拓は座り込んだままの私を気にもかけずに行ってしまった。
どれくらいそうしていただろう。
不意に後ろから声をかけられた。
『どうしたのチエ?なにやってるの?』
親友の浅子だった。
やっと物を考えられるようになった。
乾いていた涙の筋にまた涙が伝う。
親友の声が耳を素通りする。
涙だけが暖かかった。
体は冷えきっていたが、どうでもよかった。
親友の優しい声。
心に空いた穴を埋める事は出来なかった。
あまりにも穴が大きすぎた。
人形のようにぎこちない私を心配して家まで送ってくれた。
浅子は見えなくなるまで手を振ってくれた。
送ってくれた浅子には悪いが家に入る気にはなれなかった。
どれくらいそうしていただろう。
不意に後ろから声をかけられた。
『どうしたのチエ?なにやってるの?』
親友の浅子だった。
やっと物を考えられるようになった。
乾いていた涙の筋にまた涙が伝う。
親友の声が耳を素通りする。
涙だけが暖かかった。
体は冷えきっていたが、どうでもよかった。
親友の優しい声。
心に空いた穴を埋める事は出来なかった。
あまりにも穴が大きすぎた。
人形のようにぎこちない私を心配して家まで送ってくれた。
浅子は見えなくなるまで手を振ってくれた。
送ってくれた浅子には悪いが家に入る気にはなれなかった。