君と恋した記憶~どんなに遠くても、君が好きだ~
タイムリミット
「綾羽、記憶能力の検査を始めるぞ。じゃあ、最初の問題。万年筆を、持って。」
「・・・・・・?」
俺は今、俺の家で綾羽の記憶能力検査をしている。
付き添いに、美緒と藤樹もいる。
美緒と藤樹には、綾羽の記憶障害のことを話した。
二人は優しく、綾羽の記憶障害のことを受け入れてくれた。
「綾羽、問題わかる?」
「一之瀬、もう一回問題言うぞ?万年筆を持って。」
机の上に置いているのは、歯ブラシ、鉛筆、万年筆、ブラシ。
このくらいの問題ならわかると思っていた。
でも・・・・・・綾羽は、万年筆がどれかわからないのか、歯ブラシを手に持った。
「・・・・・・綾羽、机に置いて。じゃ、次の問題言うぞ。」
美緒と藤樹は、二人で顔を見合わせている。
綾羽は少々、困っているような顔をしている。