実恋
制服。風。彼。
ふわり。
風がスカートをふくらませる。
ブレザーは裾を通す度にまだこそばゆい。
目を閉じて考える。
彼のことを考える。
何してるんだろう、
どこにいるんだろう、
なにかんがえてるんだろう、
近くにいるはずなのに考えてしまう。

「悠莉乃ー。今日駅前のカフェ行くんだろー?」
大好きな声。優しい声。彼の、健二の声。

「うん。行くー!」
私は教室から廊下にいる健二まで返す。

「早くしろよー。先降りとくぞー。」

「待ってよー!」
準備をして教室から出るけど、廊下には健二はいなかった。速いなー。さすが陸上部。
< 1 / 4 >

この作品をシェア

pagetop