実恋
家族。事情。彼家。
朝は嫌い。

寒いし、冷たい。

おはようって言っても誰もおはようっていってはくれない。

早く、学校いかなきゃ。

♪―――――♪♪

私の携帯が鳴った。誰だろ?

『もしもし〜?おはよう、悠莉乃。あのね熱でたから学校休むね。ごめんね〜。』

親友の梓からだった。いつも朝は一緒に行っている。

「わかった。ちゃんとして、ねるんだよー。ばいばぁい。」

そう梓に返し電話をきった。

顔を洗って制服を着る、家の鍵を閉めて家を出る。

いってきますも言う必要はない。

だって私は一人暮らし。お母さんはどこにいるのか分からない。

私が小さいときにお父さんと離婚してもうあっていない。

お父さんはアメリカの大企業で働いてるから、私が一年前に高校に入学してからは連絡すらとってない。

別にこんな生活でいいんだけど。

不満はない。

家族はいなくても友達がいる、愛する人がいる、愛してくれる人がいる。

そんなことを考えて歩いているともう駅に着いてしまった。

いつもの車両に乗っているとイヤホンで音楽を聴いている男の子が見えた。

あっ、健二だ。

今日は人がすいているから動きやすい。

「健二!」

イヤホンをしているせいか健二は気づいてない。

近づいてもう一度言ってみる。

「健二っ!」

「おっ、おー。おはよう。悠莉乃。」

「おはよー。健二。」

「なんで悠莉乃ひとり?西野は?」

西野っていうのは梓のこと。

「梓今日熱があるからやすむってー。」

「ふーん。お大事にだな。」

「そだね。ところで何聞いてたの?」

「あー。これ。」

健二は音楽プレイヤーの画面を見せてくる。

「これって中学の時から聞いてるよね。」

「うん、好きだからなこの歌。」

「良い曲だからな。聞く?」

片方のイヤホンを私に差し出しながら聞いてくる。

「うん!聞くっ。」

そう言ってイヤホンのLの方を私の耳につける。

懐かしい。久しぶり聞いたな。

学校まではあと20分くらいあるからゆっくり歌を楽しむ。

健二のかたに頭を寄せて、歌を楽しむ。

落ち着くなぁ。

なんだか落ち着きすぎて朝なのに寝そうになる。

そんな私を見て

「寝るなよばーか。」

って言う。

「寝るかも。」

っと微笑む私。

「学校着くまでには起きとけよ。」

そう言って健二は私の頭を優しくなでてくれた。
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