夕暮れ旅館
恐る恐る靴を脱ぎ、リビングの戸を開けると……。
「何でいるの!?」
そこには一年見ないうちに、少し背と髪の伸びた弟がいた。
「あの……」
「おかえり!!」
弟の話し始めた言葉を遮って抱きつく。少し恥ずかしかったけれど、そんなことはどうでもよかった。ただ私は涙をボロボロこぼしながら、おかえりを繰り返した。
よくわからないけど、弟が戻って来てよかった。どうしてこんなことになったのか聞きたいような、でももうあの旅館に拘わるのはやめたほうがいいような……。
まあ、いいか。とりあえず、帰ってきた弟に一人暮らしの私の料理を振る舞って落ち着いてもらおう。
闇に包まれていく部屋のなかで、私の心は朝日が照っているように明るかった。

終わり
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