夕暮れ旅館
――入口の鍵は!?
慌てて席を立ち、客室の戸を開けて玄関に向かう。戸に手を掛けると……開かない。
――鍵、鍵は…!
下にスライドさせて締めるタイプの鍵は、勢い良く引き上げると上がった。
そのまま再び引き戸に手を掛け……開いた。
――はぁ、よかった……。
玄関から門に向かって伸びる飛び石が、門の向こう側に沈む夕日に照らされているのを目にし、へなへなとその場に座り込んだ。
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