夕暮れ旅館
その時、
「まぁ、門から先が空中なだけだけどね」
母親の声が聞こえた。
――はっ!?
よく見ると、門から先に見えるはずの街並みがない。空は明るく、沈みきっていないのに夕日自体が見えない。ただただ夕焼け空が広がっているだけだ。例えるなら、高層ビルの屋上の端から、地上付近まで日が落ちている時の夕焼け空を見ているようで……。
「ってことは、ここは……」
「地上11,000mの空中よ。」
「ええっ!?」
信じられなかった。父親と来た時は、そんなに坂も登らずに自転車で楽々来たのに。というより、11,000mなんて、坂とかいうレベルではない。
それに、さっき、入って左手の窓から夕日が射し込んでいなかったか?そこの窓が西なら、門は南にあたるはずだ。それなのに今、門の方へ夕日が沈んでいる。
頭がぐわんぐわん鳴って、目が回る。おかしい、どう考えてもおかしい……。
「まぁ、門から先が空中なだけだけどね」
母親の声が聞こえた。
――はっ!?
よく見ると、門から先に見えるはずの街並みがない。空は明るく、沈みきっていないのに夕日自体が見えない。ただただ夕焼け空が広がっているだけだ。例えるなら、高層ビルの屋上の端から、地上付近まで日が落ちている時の夕焼け空を見ているようで……。
「ってことは、ここは……」
「地上11,000mの空中よ。」
「ええっ!?」
信じられなかった。父親と来た時は、そんなに坂も登らずに自転車で楽々来たのに。というより、11,000mなんて、坂とかいうレベルではない。
それに、さっき、入って左手の窓から夕日が射し込んでいなかったか?そこの窓が西なら、門は南にあたるはずだ。それなのに今、門の方へ夕日が沈んでいる。
頭がぐわんぐわん鳴って、目が回る。おかしい、どう考えてもおかしい……。