キミノカケラ〜群青色の空と君と〜


翌日、重い足を引き摺るように学校に行くと、下駄箱を開けて重い息を吐いた。


上靴は落書きされた挙句、無惨にもズタズタに切り裂かれている。


またか、と思いつつ、それをゴミ箱に投げ捨てて来客用のスリッパを履く。このスリッパはすっかり私愛用になった。


上靴がこんな風にされるのは慣れっこだけど、イタズラされる度に買い替えるなんてとてもじゃないけど出来ない。


だからお金が出来たら買うようにしてるけど、その間はいつもこのスリッパを借りている。



「鷹野。お前、また上靴忘れたのか⁉︎」



前から歩いてきた生活指導の先生が、眉間に皺を寄せて強い口調で言う。



「…すみません」


「ったく、お前何回目だ?このスリッパはお前の為に用意したものじゃない。お客様用だ」



「わかるか?」と、先生は持っていた出席簿で私の頭を軽く小突くと、少し離れた所からクスクスと数人の笑い声が聞こえた。



「そこ!笑ってないで早く教室行けよ。もうすぐチャイムが鳴るぞ」



先生がそう言うと、「はーい」と能天気に答える数人の女生徒。そして、キャハハと甲高い笑い声を上げながら走って行った。



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