キミノカケラ〜群青色の空と君と〜


「お母さんとナオの妹が入院してるんだよ。お父さんは今、お医者さんとお話してるの」


「そうなんだ。病室離れて大丈夫?」



お父さんが先生と話中ならお母さんの病室にいた方がいいんじゃないかと思うんだけど……

とにかく受付に聞いてみた方がいいかな?と、ナオちゃんの手を握った時。



「あ!ナオちゃん!」



男性が息を切らせて駆け寄ってきた。

すぐにしゃがんでナオちゃんの両肩を掴み、顔を覗き込む。



「探したよ。駄目じゃないか、勝手にいなくなっちゃ」


「ごめんなさい……」


「とにかく見つかって良かった。さ、みんな心配してるから戻ろう」



男性はそう言って、ナオちゃんの頭をポンポンと撫でると立ち上がった。

そして、私をちゃんと見る間もなく、私に頭を下げる。



「ありがとうござい……っ‼︎」


「……っ、え…」



男性が顔を上げ目が合った瞬間、二人共同時に目を大きく見開いて息を飲んだ。


時が止まったように体が動かない。
ただ、心臓がこの上なくバクバクと胸を打ち続けた。



「サチ……か?」



掠れ震えた声で言う男性。
その声に、激しい動揺が見て取れる。



「お、とう……さん?」



そう。目の前にいるのは、小学三年生の時に家を出て行った、正真正銘私の実の父親だったのだ。



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