キミノカケラ〜群青色の空と君と〜


ずっと気になってた。

お父さんはどこにいるんだろう。
今何をしているんだろう。

家族はいるんだろうか。
ちゃんとご飯を食べて、元気にやってるんだろうか。

どうして私を置いていったんだろう。
どうして連れて行ってくれなかったんだろう。

もし、万が一またどこかで会えたら、その時は怒鳴りつけて、ぶん殴って、土下座させて。
全部聞きたいこと聞いて……

思いっきり抱き締めてもらうんだ。


そう思っていたけど、どうやら無理みたいだ。

いざお父さんの顔を見たら、許せない気持ちがどんどん膨らんできて、抱き締めてもらうだなんて甘いこと出来ない。

抱き締めてもらうってことはお父さんを許すってことで。

そんなの、私にはまだ出来そうにない。



「……私、行くね。待たせてる人がいるから」



お父さんの顔を見ずに告げる。

お父さんが戸惑った声で「サチ…っ」と私を呼び止めるのを無視して、私は背を向けて歩き出した。



「ねぇ、パパ早く行こー」


「あ…ああ……」



後ろからナオちゃんとお父さんの声が聞こえ、ビクッと肩を揺らす。
胸が、痛い……


早く、早く……
二人の会話が聞こえないところへ行きたい。

なるべく耳をシャットダウンして曲がり角までくると、私は一気に駆け出した。



< 107 / 180 >

この作品をシェア

pagetop