キミノカケラ〜群青色の空と君と〜
ずっと気になってた。
お父さんはどこにいるんだろう。
今何をしているんだろう。
家族はいるんだろうか。
ちゃんとご飯を食べて、元気にやってるんだろうか。
どうして私を置いていったんだろう。
どうして連れて行ってくれなかったんだろう。
もし、万が一またどこかで会えたら、その時は怒鳴りつけて、ぶん殴って、土下座させて。
全部聞きたいこと聞いて……
思いっきり抱き締めてもらうんだ。
そう思っていたけど、どうやら無理みたいだ。
いざお父さんの顔を見たら、許せない気持ちがどんどん膨らんできて、抱き締めてもらうだなんて甘いこと出来ない。
抱き締めてもらうってことはお父さんを許すってことで。
そんなの、私にはまだ出来そうにない。
「……私、行くね。待たせてる人がいるから」
お父さんの顔を見ずに告げる。
お父さんが戸惑った声で「サチ…っ」と私を呼び止めるのを無視して、私は背を向けて歩き出した。
「ねぇ、パパ早く行こー」
「あ…ああ……」
後ろからナオちゃんとお父さんの声が聞こえ、ビクッと肩を揺らす。
胸が、痛い……
早く、早く……
二人の会話が聞こえないところへ行きたい。
なるべく耳をシャットダウンして曲がり角までくると、私は一気に駆け出した。