キミノカケラ〜群青色の空と君と〜
ナオちゃんがお父さんのこと、パパって言ってた。
やっぱり新しい家族がいたんだ。
あんなに可愛らしい子供も、産まれたばかりの赤ん坊もいるなんて……
私、期待してた。
お父さんはまだ私を一番に想ってくれてる。いつか迎えに来てくれるって。
でもそれは違った。
あの人は私のことなんて心配すらしてなかったんだ。
新しい家族を作って、私のことなんて無かった物にしてた。
私を一人にして、あの地獄の部屋に置き去りにして……
自分だけ幸せになってたんだ。
悔しい、悔しい、悔しい悔しい!
どうして私だけこんな辛い思いをしなきゃいけないの?
勝手に私を産んでおいて、勝手に捨てて傷付けて。
私なんて産まれて来なきゃよかった。
私なんて……私なんて……っ!
涙が流れる。
無数の涙が私の思いとは裏腹に。
泣きたくなんかない。
あんな親を憎んで、自分の存在を妬んで、涙なんか流してやりたくない。
なのに、いくら堪えようとしても涙は止まってはくれなかった。
「ーーーチっ……サチホっ‼︎」
無我夢中で走っていると、突然腕をパシッと掴まれて足を止めた。
振り向くと、目を見開いて息を切らすシュウがいて。
「どうした?」と焦ったように、だけど私を落ち着かせるような優しい声で言った。
「シュウ……っっ、ゔ…」
シュウの顔を見た途端、安心して大量の涙が一気に溢れ出す。
「ゔわあぁぁ……っ‼︎」と、その細い胸に飛び込むと、シュウは優しく頭をぽんぽんと撫でながら抱き締めてくれた。