キミノカケラ〜群青色の空と君と〜


「鷹野。明日は忘れずに上靴持って来るんだぞ‼︎わかったか?」



わかったかって…そんなの言われなくてもわかってる。だけど、明日持ってくるなんて無理。


大体、先生だってわかってるんだ。私の上靴が度々あんな風にされること。


前に一度、先生の前でズタボロの上靴をゴミ箱に捨てた事がある。その時、確かにしっかりと目が合った。だけど、この先生は声を掛けるどころか、あたかも俺には関係ないと言わんばかりに目を逸らして私の横を通り過ぎたんだ。


この先生は生活指導の立場のくせにこういう面倒臭いことは見て見ぬ振りをして、何も反論しない私を見せしめに注意する最低な先生なんだ。



「おい!わかったのか鷹野‼︎返事は⁉︎」



何も答えずただ俯く私にイラっとしたのか、声を荒げる先生。周りの生徒がチラリと私達を見やる。


あー…面倒臭い。
ここで何か訴えればいいのかもしれないけど、もうこの人には……この人だけじゃなく私の人生全てに何も期待してない。


どうせ、もうすぐ終わりにするんだし。



「わかりました」と呟くように言うと、先生は満足したのか「最初からそう言え」と捨て台詞を吐いて職員室の方へ行ってしまった。



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