キミノカケラ〜群青色の空と君と〜
「なぁ、今度もう一度話してみないか?」
シュウは私を離すと、真摯な瞳でジッと見つめてくる。
「え……?」
「お父さんと。もちろん俺も立ち会うから、逃げずにお父さんとちゃんと向かい合ってみないか?」
「でも……怖いよ」
怖い。お父さんの口から決定的なことを言われるのが。
次何かあったら、私は私でいられる自信がない。
「怖いかもしれない。けど、ここで逃げたら後悔する日がきっと来る」
シュウの真っ直ぐな目が私を射抜く。
目を逸らせない。逆に引き寄せられる。
「俺も怖かったよ。だけど、一人じゃなかった。サチも哲二さんも菜摘さんもいる。だから頑張れたんだ。サチだって同じだ。俺がいる。哲二さんも菜摘さんも見守ってくれてる。そうだろ?」
“一人じゃない”
“俺がいる”
シュウの言葉がじわりと身体の芯から温めていく。
お父さんが出て行ってから私は一人だった。
友達はいない。
学校では虐められ、先生は見て見ぬ振り。
親戚との付き合いはない。
お母さんにとって私はいらない存在。
だから、ずっとずっと一人だった。
だけど、今の私には大切は人がいる。
シュウ、哲二さん、菜摘さん。
他にも、時計広場の仲間も私を受け入れてくれた。
今暮らす街の人達も優しい。
周りの人達が私の存在を認めてくれる。
私は初めて、一人じゃないんだって思える。