キミノカケラ〜群青色の空と君と〜
「側にいてくれる?」
「ああ。側にいる」
「ずっと?」
「もちろん、ずっとだ」
シュウは私の手を強く握る。
骨張った大きな手から伝わるシュウの優しさと温もり。
私はずっとこの温もりが欲しかった。
「会ってみる。お父さんに」
今度こそ聞きたいことを全部聞こう。
その時間が例え辛い時間になったとしても、前に進むためにお父さんと会って、こんな地獄のような過去で泣くことをもう終わりにするんだ。
シュウがいてくれれば大丈夫。
シュウは私の答えを聞くと、目を細め柔らかい笑顔で、「それでこそサチだ」と私の頭を撫でた。
◇◆◇
「とうとう明日ね。大丈夫?」
数日後、菜摘さんとキッチンで夕飯を作っていると、菜摘さんが心配そうに眉を下げて言った。
「大丈夫です。怖くないかって言ったら正直怖いけど。でも、シュウがついて来てくれるので」
お父さんと再会した日、シュウがお父さんに話をしてくれた。
お父さんは快く承諾してくれて、明日の夕方会うことになった。
「それに、私には帰る場所がありますから」
菜摘さんに微笑んでみせる。
それは心から出た笑顔だった。
帰る場所があるということは、本当に心強いこと。
「サッちゃん、また強くなったね。ここに来た時とは大違い」
「そうですか?」
「目の色も笑顔も違う。生き生きしてるわよ」
菜摘さんは沢庵を薄く切りながら、ふふふと笑う。
菜摘さんの笑顔はほっこりして、私もまた笑顔になった。