キミノカケラ〜群青色の空と君と〜


「側にいてくれる?」


「ああ。側にいる」


「ずっと?」


「もちろん、ずっとだ」



シュウは私の手を強く握る。

骨張った大きな手から伝わるシュウの優しさと温もり。
私はずっとこの温もりが欲しかった。



「会ってみる。お父さんに」



今度こそ聞きたいことを全部聞こう。

その時間が例え辛い時間になったとしても、前に進むためにお父さんと会って、こんな地獄のような過去で泣くことをもう終わりにするんだ。


シュウがいてくれれば大丈夫。


シュウは私の答えを聞くと、目を細め柔らかい笑顔で、「それでこそサチだ」と私の頭を撫でた。




◇◆◇


「とうとう明日ね。大丈夫?」



数日後、菜摘さんとキッチンで夕飯を作っていると、菜摘さんが心配そうに眉を下げて言った。



「大丈夫です。怖くないかって言ったら正直怖いけど。でも、シュウがついて来てくれるので」



お父さんと再会した日、シュウがお父さんに話をしてくれた。

お父さんは快く承諾してくれて、明日の夕方会うことになった。



「それに、私には帰る場所がありますから」



菜摘さんに微笑んでみせる。
それは心から出た笑顔だった。


帰る場所があるということは、本当に心強いこと。



「サッちゃん、また強くなったね。ここに来た時とは大違い」


「そうですか?」


「目の色も笑顔も違う。生き生きしてるわよ」



菜摘さんは沢庵を薄く切りながら、ふふふと笑う。
菜摘さんの笑顔はほっこりして、私もまた笑顔になった。



< 113 / 180 >

この作品をシェア

pagetop