キミノカケラ〜群青色の空と君と〜
踏ん反り返るように歩く先生の後ろ姿にただ呆れるように息を吐くと、私も教室へと向かう。
一年の教室は三階の最上階だ。
一段一段が怠い。永遠に続く地獄への階段のように感じる。
この階段を、私は一体いつまで昇り続ければいいんだろう……
もう、昇りたくない。
もう、早く終わりにしたい。
全てを……
「たっかのちゃーん!」
足元だけを見ながらゆっくりと階段を昇っていると、上の方から声がして顔を上げた。
数段昇った所にある踊り場で、さっき私が生活指導の先生に怒られてる時にクスクス笑っていた女生徒達が壁に寄り掛かっていやらしい笑みを浮かべている。
「アンタ、本当に飽きないね。何回上靴忘れてんだよバーカ」
綺麗にパーマが巻かれた長い茶髪を指でくるくる弄びながら真ん中にいた女子、コウノが嘲笑いながら言う。
このグループは私と同じクラスで、一番目立っている中心的存在だ。特にコウノは恐れられていて、兄がここの生徒会長、母親がPTAの会長ということもあり、生徒はもちろん先生までもがコウノに目をつけられないように必死でご機嫌取りをしている。