キミノカケラ〜群青色の空と君と〜


お父さんと会ってから二週間が経った。


私はまだ踏み切れず、スマホの画面にお父さんの番号を表示しては消すのを繰り返すのが癖になっていた。


お父さんはというと、約束通り連絡をしてこない。
ちゃんと私のことを待っていてくれているんだと思う。


あの日、シュウと私と別れた後すぐに哲二さんに電話があったらしい。

何を話したのか詳しくはわからないけれど、哲二さんは私が帰るなり良かったな、と微かに目を潤ませながら頭を撫でてくれた。


この二週間、シュウも哲二さんも菜摘さんもこの話には一切触れてこない。

三人もお父さんと同じで、私の答えを出すまで温かく見守ってくれているんだ。


私の気持ちを第一に考えてくれてる人たちが側にいる。

それだけで私の心は、こんなに大事な決断を迫られているにも関わらず穏やかで、ゆっくりとした時間が流れていた。



私は幸せ者だ。

数ヶ月前までの生活が嘘のようで。

私は浮かれていたのかもしれない。


大事なことを、見逃していた。

時間は戻らない。
今は永遠に過去になる。


そんなこと、私がよくわかっていたことなのに……




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