キミノカケラ〜群青色の空と君と〜
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「シュウー‼︎」
シュウの職場の前で待つ事15分。
定時を少し過ぎた頃、シュウが出てくると、私は手を振りながらシュウの元へ駆け寄った。
私に気付いたシュウは疲れが滲む表情から一転、目を細めて優しく微笑んだ。
「迎えに来てくれたんだ」
「うん、近くの本屋に行ってたの。そろそろシュウの仕事終わる時間だなーって思って」
「そっか。さんきゅ」
そう言って、頭をポンポンと撫でてくれるシュウ。
それが嬉しくて私は、えへへ、と照れ笑いを浮かべた。
「ねぇ!これ見て!」
「ん?」
私は持っていた本屋の袋からさっき買った本を取り出すと、「じゃじゃーん!」と顔の前にそれを掲げた。
「熱海?」
シュウは首を傾げる。
今一理解していない様子だ。
「そう!熱海温泉!行こうよ、旅行!哲二さんと菜摘さんと四人で」