キミノカケラ〜群青色の空と君と〜
「シュウの様子はどうだ?」
哲二さんが深刻そうな表情で原田先生に問い掛ける。原田先生は、ふぅ、と鼻で息を吐くと小さく首を横に振った。
その反応がどういう意味なのか、私にはよく理解出来なかった。ただ、昨日から良くなってはいないということだけは嫌でもわかって、心臓がグッと思いっきり掴まれたみたいに苦しくなった。
「ここだよ。今、ご両親が付き添ってる」
原田先生が病室の前で足を止める。
壁には【七〇二号室 立花秀太】と書かれた札が貼ってあって、原田先生はノックをするとドアを開けた。
「失礼します。立花さん、お変わりありませんか?」
「ええ、相変わらず眠ったままです」
哲二さん、菜摘さんに続いて病室に入ると、シュウのご両親の疲れた姿が目に入った。
多分、昨日から一睡もしていないんだろう。
シュウの今の状況からしたら無理もない。
昨日の夜、私も目が冴えてなかなか眠れなかった。
目を閉じて、視界が暗闇になるのが怖かったんだ。
前みたいに闇に包まれてしまいそうで。
そうなったら、多分私はもう抜け出せないから。
「哲ちゃん、菜摘さん。それからサチホさん。遠くまで足を運んで頂いて、ありがとうございます」
シュウのご両親が恭しく頭を下げる。
私も同じように頭を下げると、目に映ったのはシュウの姿だ。