キミノカケラ〜群青色の空と君と〜
「本当に宜しいんですか?」
「はい。機械で少しでも長く生かしてあげるよりも、自然と眠らせてあげたい。それが私どもの願いです。息子も同じように思ってると思います」
頭の中が真っ白だった。
本当に?本当にそれがシュウの願いなの?
少しでも長く生きたい。
1パーセントでも可能性があるなら、それに懸けたい。
生きることを諦めたくない。
そう思ってるじゃないの?
だって、シュウは私に話してくれた。
高校の屋上に忍び込んだ日の帰り道。
『まだ治らないって決まったわけじゃない。まだ希望はある。ゼロじゃない。生きたい、絶対治してサッカーやるんだって思ったら、自分から命を捨てるなんて馬鹿らしくなった。だってそうだろ?俺は試合を途中で放棄しようとしてたんだから』
今でも思い出せる。
あの時のシュウの生き生きとした表情。
それに、言ってくれたんだよ…
私と生きたいって。
そんなシュウが、まだ少しでも可能性があるのに自分から生きるのを諦めるような願いをするはずがないじゃない。
「わかりました。では、この書類に、」
「……そだ」
原田先生が持っていたファイルから一枚の紙を出そうとした時、私は体を震わせながら呟いた。
部屋の中にいた全員が一斉に私に目をやる。