キミノカケラ〜群青色の空と君と〜
「シュウを見捨てる……?そんなことある訳ないだろう」
込み上げてくるものを堪えるように、自分の声を必死に押さえ込んで話す哲二さん。
唇は震え、その表情は辛く悲しみが滲んでいる。
「私はシュウを自分の息子だと思ってる。サッちゃんの事も勿論そうだ。二人は私の大事な、大事な子供だ」
「哲二さん……」
「助けてやれるもんなら助けてやりたい。代わってやれるなら代わってやりたい。シュウを助けたいのは、皆同じだ」
「だったらどうしてっ……」
「それでも、シュウの今の状態で人工呼吸器を付けるという事は深刻な問題なんだ。機械で生かされる。この先、どれぐらい長くその生活が続くかわからない。奇跡的に目を覚ますことだって無いとは言えないけど、可能性はかなり低い。1パーセントでも可能性があればって言うけど、たった1パーセントだ。その前に、付き添う人間の精神的体力的疲労は計り知れない。それに、一度付けた人工呼吸器はなかなか外せないんだ。外そうとすれば法に触れる可能性だってある。延命治療というのはそういう事なんだ」
哲二さんは一呼吸置くと、シュウに目をやる。
優しく、だけど切なさが滲んだ瞳。
本当にシュウが大事だと、本当の我が子のように愛しいと、そう言ってるような瞳に、鼻の奥がツンとした。
私だってわかってる。
1パーセント“でも”可能性があるならって言葉では言ってるけど、実際1パーセント“しか”ないんだって……
それでも、シュウがいなくなっちゃうのは……私には受け入れられないんだ。