キミノカケラ〜群青色の空と君と〜
「な、なんで……」
誰にも言ったことないのに、何で知ってるの?
確かに、私は人形の服を作ってネットで売ってる。
初めは趣味で作っていたけど、ある日フリーマーケットに行ったら同じような人形の手作りの服が売ってるのを見つけた。
それが凄く可愛くて、私が作る服とはタイプが違くて、ウキウキしたのを覚えてる。
それから私もフリーマーケットに出すようになって、色んな人が作った服を売ってる専用サイトで売らせてもらえるまでになった。
学校に行きながら、母親に見つからない程度に手縫いで製作してるため、月に何着も作れるわけではない。だから、他の人みたいにそれで生計が立てられるわけでもないけど。
月に数万円のお小遣いにはなる。
「案外儲かってるみたいじゃん?一点物で、お前みたいな馬鹿が作った服でもマニアは良い値出して買うんだろ?」
「…っ……」
「お前、いくら貯め込んでんの?通帳見せてみな」
母親は私が持っていた鞄を奪おうとする。私は離すまいと鞄を抱き締めて身を屈めた。
「……い、嫌っ!」
「嫌じゃねぇよ!早く出せよ!」
嫌!絶対に嫌!
このお金は、このお金は……
いつかここから逃げ出す為に。
いつかお父さんに会いに行く為に、必死で貯めたお金なんだから。
死んだってこいつにくれてやるか‼︎