キミノカケラ〜群青色の空と君と〜
「さぁね」
「さぁねって……」
眉毛を上げて、ふっ、と鼻で笑う男。
何なの、こいつ。まじで意味不明。ってか気持ち悪いし。
私は不機嫌に顔を歪ませる。だけど、金髪男は全く気にしていない様子で。
「俺、シュウ。よろしくなサチ」
馴れ馴れしく“サチ”だなんて呼び捨てにしてくる。
「おーい!タチバナ、こっち来いよ」
広場の端からそんな声が聞こえ、目の前の礼儀知らずな馴れ馴れしい金髪男が「おー!」と、手を挙げて答える。
その隙を見て、私はそいつから背を向けて歩き出した。
ホント意味不明な男。こういう奴、大っ嫌い。
自己中で、誰にでも馴れ馴れしく声掛けて、皆友達精神。まじ無理。
なんで私の名前を知ってるのかは気になる所だけど、これ以上関わっていたくない。
「あ、サチ待てよ!」
背を向けた私に気付いた男が声を上げる。
待つわけないじゃない。
振り返らない、絶対。
「……また来いよ。俺、いつもここにいるから」
男はとりあえずしつこく追っては来ないようだけど、そう言いながら微かに笑った気がした。