キミノカケラ〜群青色の空と君と〜


「ねぇ、聞いてもいい?」


「ん?」


「なんでシュウはあの広場にいるの?」



あの広場には自由と希望が溢れてると、私は思う。あそこに集まる人は眩しいくらいにキラキラしてて、自分が思うままに生きてるように見えた。

歌って、踊って。絵を描く人もいれば、仲間とただ笑い合うだけの人もいる。

中には、私みたいにその自由に惹かれて気付いたら何度も足を運んでしまう人もいるだろう。


そんな場所にシュウがいる理由が凄く気になった。



「退屈なんだよね、病院。だから抜け出してきてる」



シュウは苦笑いを浮かべた。

その複雑な表情にドクンと胸が震え、今日トイレで聞いた“重い病気”という言葉が頭を過ぎる。



「シュウの病気って……」



不躾な言葉がつい口から出てしまい、咄嗟に口を噤んだ。

こんな突っ込んだ話、昨日今日出会ったような私が聞いていいことではない。



顔の前で手を振りながら「なんでもない。今のなし」と、この話を終わらせようとすると。



「ここ」



シュウはそう言って、親指で左胸をトントンと軽く叩いた。


すぐに悟った。
思っていたよりも重くて、言葉を失ってしまう。


そんな大きなものを抱えていたなんて……



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