キミノカケラ〜群青色の空と君と〜
「そんな顔すんなよ」
シュウが指先で私の右頬をそっと撫でる。
きっと私、強張った酷い顔してる。
病気のことを聞いて、何て言ったらいいのかわからない。
何を言っても、私の言葉は軽くなってしまうと思う。
「顔、怖くなってる。別に死ぬほど重い病気ってわけじゃないから」
シュウは私を安心させるようにいつも通りニコッと笑った。
“死ぬほど重い病気じゃない”
それが本当なのか、私を安心させるためなのかわからない。
だけど、それが本当だと思いたい。
本当だと思った方が、私も今シュウの前で普通に戻れる。
「さっき走っちゃったけど……走ったりして平気なの?」
「ちょっとなら平気」
「……ごめんなさい。私、知らないでこの前ひどい言い方した」
この間の言動を思い出してギリッと唇を噛む。
私、最低だった。
命の大切さを誰よりも強く感じてるシュウ。
今、シュウが言ってた事ようやくわかった。なんで見ず知らずの私に、あそこまで怒ったのかも。
「なーに謝ってんの。サチが謝ることじゃないだろ。知らなかったんだし、サチにもサチの事情があるんだ」
「でも…」
「謝るのは俺の方。サチが学校でどんな目にあってるか知ってたのに、わかった風に言ってごめん。俺が思ってたよりサチの苦しみは大きくて、俺があんな風に言うことじゃなかった」