キミノカケラ〜群青色の空と君と〜


泣きそうな目をして微笑むシュウと目が合う。その表情に、私も泣きそうになった。


こんな風に誰かと話したのだって久しぶりなのに。
私のことを思って胸を痛めてくれる人が目の前にいるってことがどうしようもなく嬉しかった。


シュウに今まで言われた言葉、今なら真っ直ぐに受け入れられる。

それはシュウが純粋な人だとわかったからだ。



「俺、ここから見るこの空が好きなんだ。快晴の日に見れるこの群青色の空が」



空を見上げるシュウにつられて、私も視線を上げる。


そこには相変わらずな空があった。



「この空の色を見てると嫌なことを忘れられるんだ。スーッと胸がスッキリして、また頑張ろうって思える」



どこか強さがある瞳。凛とした顔。背筋をピンとして、ただただ前を向いて。

その横顔が眩しくて思わず魅入ってしまう。



「サチにはまだ闇空に見える?」



シュウの問い掛けに、コクンと頷く。



「ずっと見てると嫌な気持ちになる。まるでブラックホールに心が吸い込まれるような感じ」



暗いものを見てると、もっと気持ちが暗くなる。もっともっと悪い方に考えてしまう。

この空は、私には闇でしかない。



「よし!決めた。俺がサチの景色を変えてやる」


「景色を変える?」


「こんなに綺麗な空が闇空に見えるなんて寂しすぎる。サチにとびっきりの群青色の空を見せてやるよ」



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