キミノカケラ〜群青色の空と君と〜


余りにも突拍子もないシュウの話に、一瞬思考が止まった。

目をパチクリさせて、シュウの言葉を一つ一つ理解しようと努める。



「……自分達で作ったの?」


「そうだよ」


「…す、凄い凄い‼︎え、ホント⁉︎ホントにシュウが作ったの⁉︎」



飛びつくぐらいの勢いで言う私に、シュウはクスクスと肩を揺らして「本当に本当だよ」と答えた。



「あんなに素敵な曲作れるなんて……」



本当に凄いと思う。

それはさっき周りを囲んでた人達の表情を見てもわかる。
鼻をズッと啜ってる人もいれば、胸の前で手をキュッと結んで聞き惚れてる人もいた。



「どんな歌なの?」


「簡単に言うと、“前を向け!自分を信じて歩いていこう。綺麗な空はいつもそこにあって、君を見守っていてくれる”的な?」


「へぇ」



シュウらしい歌詞の内容に、ふふふ、と笑みが零れる。


今はシュウのこと偽善者だなんて思わない。だから、この歌の歌詞もスーッと胸に入ってくる。



「俺、高校受験のとき死のうと思ったんだ」


「え…?」



思いも寄らぬ告白に、ついさっきまで穏やかだった心が凍り付いた。



< 54 / 180 >

この作品をシェア

pagetop