キミノカケラ〜群青色の空と君と〜
「もうこんな身体でいるのが嫌でさ」
シュウはポケットに手を入れて、当時を思い出しているのか遠くを見つめている。
「高校の合格発表の日にサッカー部が練習やってんの見て、もし病気が治ったら俺もサッカー部に入ろうって思った。サッカー部の先輩達が本当に格好良くてさ。汗水垂らして、泥だらけになりながらボール追い掛けて。青春だなって思った。俺、それまでこの体のせいで体育もろくに出来なかったから、先輩達が羨ましかったんだよね」
病名まではわからないけど、シュウは心臓が悪い。
心臓が悪いってことは、激しい運動は避けなければならないんだと、それぐらいのことなら私でもわかる。
私は運動が苦手だからそうは思わないけど、男の子は友達と走り回ったり運動部に入ったり、沢山体を動かしたいはずだ。
それをシュウはずっと我慢してきたんだ。
友達が自由に走り回ってるのを近くで見ながら、ずっと。
「だけどその日、医者に病気の現状を聞いて……なんで俺ばっかこんな目に合うんだろうって思った。俺が何をした?俺よりも悪いやつなんて沢山いるだろ?俺はただ普通でありたいだけなんだって。俺にはこの先絶望しかない。そう思ったら、無意識にここの屋上に忍び込んでた。屋上で寝転がって泣いて、気付いたら夜だった」
私と状況は違えど、シュウの気持ちはよくわかる。
私も同じ事を何度も思った。
何で私なの?私が何か悪いことした?
私の人生はこの先もずっと地獄なの?
それならいっそ、自分からこの人生を捨ててしまいたい。
そんなことを毎日考えて、毎日泣いて。
私はこの九年間生きてきた。