キミノカケラ〜群青色の空と君と〜


「シュウってば!」



シュウに嫌われるのは嫌。絶対に嫌だ‼︎


私は引かれた手を出来る限りグイッと引っ張って声を張り上げると、シュウが突然立ち止まった。
その反動で、勢い余って背中に思いっきりぶつかる。



「ご、ごめ」


「サチはカエデが好きなの?」



背中にぶつけた鼻を摩りながら謝ろうと口を開くと、シュウの低い声に「え…?」と身体を強張らせた。



「す、好きじゃないよ」


「じゃあなんですぐ断らないの?」


「それは……告白されるの初めてで……なんて断ったらいいかわからなくて。それに突然で……焦っちゃって……」


「その判断の甘さが男に付け入る隙を与えてるってわかってる?」


「……ごめんなさい」



シュンと肩を落とす。


シュウが言ってることはごもっともだ。
私がちゃんとはっきり断っていれば、無理矢理カエデさんに連れて行かれそうになることもなかった。

もし、あの時シュウが来なかったら、私は間違いなくカエデさんに……


そう思うと、怖くなって身体をぶるっと震わせた。



「ごめん。俺も言い過ぎた」


「ううん」



シュウが悪いんじゃない。
シュウは私を思って叱ってくれただけ。
謝らなきゃいけないのは私なのに……
なのに、こんな時でも私は何も言えない。



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