キミノカケラ〜群青色の空と君と〜
涙を浮かべるシュウのお母さんの肩を、お父さんが優しく抱き寄せる。
「サチさん。うちのが失礼なことを言ってすまない。でも、わかってほしい。シュウの体の事はもう知ってるようだから、これは私達からのお願いだ。もうシュウとは会わないでほしい」
「父さん!」
「シュウは私達にとってかけがえのない息子なんだ。シュウの命が助かるならどんなことだって我々はする。シュウにとって今してる治療は大事なんだ。病院を抜け出すことはそれだけシュウの体にも負担を掛ける。わかってくれるかい?」
三人のやり取りを、私はただ呆然と見ていることしか出来なかった。
シュウは必死に私のせいじゃないって言ってくれてる。
でも、ご両親の言う通り、私の存在が少しでもシュウの治療の妨げになるのなら……
「父さん!やめろよ!サチは何も悪くない!」
私とご両親の間に立って私を庇ってくれるシュウを、こんな時でも愛しいと思う。
シュウは優しいから…優し過ぎるから……
私からサヨナラをする。
「わかりました。もうシュウには会いません」
「サチ……?」
「ご迷惑をお掛けしました」
ペコっと頭を下げて、元々いた部屋に急ぎ足で戻る。
後ろからシュウの大好きな声が私を呼んでいるけど、ここで振り返っちゃ駄目だ。
まだ。まだ我慢……
溢れる涙を必死に堪えて、ドアノブを思いっきり引いた。