キミノカケラ〜群青色の空と君と〜
おじさんとおばさんこと、並川哲二さんと並川菜摘さんはシュウの父方の親戚だ。
哲二さんはシュウのお爺ちゃんの弟さんの子供。つまり、シュウのお父さんの従兄弟に当たる。
菜摘さんは哲二さんの奥様で、二人に子供はいない。
哲二さんはこの街に二人しかいない街医者で、菜摘さんと二人で小さな医院をしている。
昔、有名な都内の総合病院で心臓外科医として働いてた哲二さんは、そこで看護師をしていた菜摘さんと出会ったらしい。
その頃、シュウのお父さんがシュウの病気を哲二さんに診てもらい、哲二さんが総合病院を退職してこの街に越して来た後も定期的に検診してもらっていた。
だけど、ある日哲二さんとシュウのお父さんが治療方法のことで意見が合わず、それ以来ここには来ていなかったという。
当時、二人はシュウを息子のように可愛がってくれたと、シュウが懐かしむように話してくれた。
「シュウ。サチホさん。遠路はるばる本当によく来てくれたね。私も家内もシュウに久しぶりに会えて嬉しいんだ。しかもこんな可愛らしい彼女を連れて来てくれるなんてね」
ははは、と笑う哲二さんに、シュウは慌てて「おじさんっ!」と声を上げた。
「サチはまだ彼女ってわけじゃ…」
「そんな慌てることないじゃないか。満更でもないくせに」
ちらっとシュウの顔を見ると、シュウの顔は茹で蛸のように真っ赤になっていて、嬉しくて思わず笑ってしまった。