キミノカケラ〜群青色の空と君と〜
「さて、電話をもらったときも話したが、うちは二人を家に置くことに何の反対もない。が、シュウは本当に親に話してきたのか?」
私達は本当に家を出て来た。
だけど、まだ未成年の私達が二人で暮らしていくのは正直厳しいのはわかってる。
そこでシュウの親戚である哲二さんに頼って、私達はここに辿り着いたのだ。
哲二さんの問いに、シュウが黙り込むと、哲二は「はぁ」と息を吐いた。
「やっぱり。そんなことだろうと思ったよ。サチホさんも親御さんには内緒で出て来たのかい?」
それでも優しい口調の哲二さんを私は真っ直ぐと見据える。
「私に父はいません。母は……私をいらない子だと思ってます。私が何処へ行こうと何も言わないし、何処かへ行ってくれた方が清々すると思います」
「……そうか。わかった」
哲二さんは私の答えに目を瞑ると、静かに言った。
多分、シュウからも多少は私の境遇を聞いてると思うし、私の言葉である程度理解してくれたんだと思う。
「それで、二人はこれからどうするつもりだ?」
「働きます。漁師でも新聞配達でも何でもします」
「働くって言っても、お前には体を使う仕事は無理だ。それに学校はどうする?」
「ある程度、お金が貯まったら二人で通信で高卒認定を取るつもりです」
「いいか?十六、十七の子供を雇ってくれるところなんか殆どない。雇ってくれたとしても高校生の子供にいくら支払ってくれると思う?少ない給料から生活費でどれだけ持ってかれて、手元にいくら残るのか考えたことあるか?大学を出て社会人になった若者だって苦労するのに、それを高校中退した子供がやってけるって本気で思ってたのか?自立して生活していくってことは簡単なことじゃないんだ」
やっぱり、家出なんて浅はかな考えだったのかもしれない。
ちゃんと現実を見て、厳しい荒波を覚悟していたつもりだったけど。
哲二さんの言葉で、私達は社会を甘く見ていたんだと思い知らされた。