キミノカケラ〜群青色の空と君と〜
「うちは構わないよ。この一ヶ月、我々も楽しかった。色々と手伝ってくれるし、迷惑掛けられるどころか二人には助けてもらいっぱなしだ。な?」
「ええ、本当に。年寄り二人での生活はこんな田舎じゃ不便なことも多いけど、二人がいてくれるお陰でとっても助かってるんですよ」
「そういうことだから、うちは好きなだけいてくれて構わない」
柔和な表情で言う哲二さんと菜摘さん。
本当にこの二人の懐の広さには助けられてばかりだ。
「ありがとう……どうか息子を宜しくお願い申し上げます」
お父さんは畳に額がついてしまいそうなぐらい深く頭を下げた。
お母さんはお父さんの様子を困惑した表情で見つめる。
なかなか受け入れられないんだろう。
それでも、お父さんが出した結論に、最後は渋々納得したのか、遅ればせながらも頭を下げた。
その隣でシュウは涙を拭うように手を目元に当てた。
後ろからでよく見えなかったけど、シュウは多分嬉しくて涙を流したんだと思う。
ご両親の帰り際、門で二人を見送る時にお父さんがシュウを呼んだ。
「やりたいようにやりなさい。通信の学費のことも心配いらない。何か必要なものがあれば言いなさい」
「ありがとう、父さん。でも、なるべく自分でやりたいんです」