キミノカケラ〜群青色の空と君と〜
お父さんはシュウの言葉に、嬉しそうに目を細めた。
「いつの間にこんな立派になったんだろうな……いつまでも何も出来ない子供のままじゃないのに…」
「父さん……」
「シュウ。これだけは覚えておいてくれ。離れて暮らしていても、私達はお前の味方だ。いつでも帰っておいで。今まで辛い想いをさせて本当にすまなかった」
ブルブルと首を左右に振るシュウ。
心が温かくなった。
時間は掛かるかもしれないけど、絶対に分かり合える。
また、いつかのように笑い合える日がきっと来るはずだ。
シュウは、始終口を閉ざし俯くお母さんの方に視線を向ける。
何だかんだ揉めても、シュウはお母さんのことも大事に思ってる。
その証拠に、お母さんを見つめる瞳からは心配の色が見て取れた。
「母さんのこと許してやってくれ。シュウのこと本当に心配してのことだ」
「わかってる」
「大丈夫。時間が経てばあいつもわかるさ」
そう言って、シュウの肩をぽんっと叩いたお父さんは、私の方へ目を向けた。
「サチホさん。シュウのこと宜しくお願いします」
私に向かって深々と頭を下げるお父さんに慌てて私も頭を下げる。
「それじゃ、元気で」
二人はそれぞれ別の表情を浮かべながらも、何度も振り返りながら坂を下って行った。
空はすっかり赤く染まっている。
シュウは、二人の背中が見えなくなるまでその場を動かなかった。