Ｂelieve

初めに。

世の中に、自分より苦労している人がいるとは思ってなかった昔のあたし。
『この世の中はおかしい』そう思ったのは少なくとも、十代に入るよりもっと前だった。
子供だったあたし…まだ遊び盛りで、お母さんやお父さんにベッタリの筈の年代…なのに。
あたしは親に愛されているのか、わからなくなった。普通に接してくる親の手が、子供のあたしには怖かった………。
あの頃のあたしは、あの親の手が、とても信じられなかった。
怖くて怖くて、その手で、あたしを痛めつけるんじゃないかって…すごく疑った。　あたしをこんなにしたのは、あたしの家族………そして、あたし自身。
どれだけ苦しんでも、辛がっていても、誰一人と気付いてくれなかった。
「助けて………」
と、何度願ったことだろう。幾度となく流れた涙。枯れなかったのが不思議なくらい。ずっと、ずぅっと、一人で隠れて泣いていたんだ。　なのに、やっぱり誰も気付いてくれなかった。信号をだしていたのに、皆あたしを無視してた。　
その頃から、あたしは人を信じなくなった。―――否、信じられなかった。
汚い大人たちも、気付かないで笑ってる友達も…。