4番青年の快走
「もう夜中じゃん。泊まってく?」
「あー」
特に決着がつくわけでもなく、ただ飽きたからナイター試合は閉幕。リビングの中から星空を眺めながら伊吹が訪ねてきた。
夜中じゃんて、お前が夜中になるまでバスケしてたんだろうが。別にいいけど。
「いや帰るわ。ウチの親も弟妹もお前に会いたがってるからまた明日連れてくるし」
「うおマジか。エイタもユウコも翔も一葉もこっちで会うの久々だな」
「楽しみにしてろよ」
「あーたぶん寝てるから起こして」
出迎える気ナシかよ。ああそうだ明日、ヘアカラーも買わなきゃな。
「で。もう帰んの?」
「ちょっと休んでから」
「今ので疲れたのかよ!ひ弱だなーさっくんは」
「誰がさっくんだよ」
「一葉のマネ。さっくん」
ギャハハ、とまた笑う。落ち着け、お前もちょっと落ち着けバカ。なんなら寝ろ。今すぐに。
また伊吹の部屋にかえって窓を開けた。
夜には満点の星空が見える丘だ。
涼しい風が部屋にはいってきた。
変わんねえな、この光景も。
遠くからしてきたバイクの音に、うわこれ絶対顔見知りの仕業だろ、とか
ぽつりぽつり、いつも通りのくだらない会話をして。まあこの時間に男ふたりだから下ネタに走ったりもして。
星空の下で時間をすごした。