4番青年の快走




学校は特に面白くなかった。


意味のない授業なんて聞かなくても常に首席をとれた。同級生にも歳上にも絡まれて面倒だった。道を歩くだけで他校の生徒にも捕まるから不便だった。面倒だった。
嫌味を言ったり機嫌をとったりする教師も邪魔だった。


家では毎日両親が騒いでいたし物の壊れる音と暴力の音が鳴り止まなかった。あれマジでうるさかった。眠れなかった。

イヤホンしててもうるさいからどうしようもなかった。


おまけに母親は父親がいなくなるといつも俺に「産まなきゃよかった」だの「アンタのせいで」だのどこの経だよくらいのレベルで言ってくるから耳障りでしょうがなかった。



俺は面倒くさがりな人間だ。



面倒くさがりだからうるせえ音は何も聞きたくなかった。でも気付いたら俺の周りの音といったら雑音ばかりで、じゃあ全部いらねえじゃん、て。気付いた。


楽な方法といったらアレか、飛び降りか。高層ビルに上るの面倒だから学校でいいか、くらいのノリで。



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