4番青年の快走
そんな俺の腕を無責任に引きやがったのがこの人。
「うわやっぱ悠真じゃん。何してんのお前」
「……アンタこそ何すか。タイミング何事っすか」
「ここで昼寝すんの好きなんだよ」
「マジかこの人」
「あん?」
似つかわしくないほど爽やかな風が通り抜けた。高いところはこんな風が吹くのか。
自己中自己中だとは思っていたけど、この日がいちばんだったと思う。
「俺お前と知り合ったばっかだしまだ死ぬなよ」
学校つまんねえの?メシ一緒食う?いやそんなコドモじゃねえし。つまんないなら行かなくていいだろ倉庫来てろ倉庫。
いつも誰かいるし。
俺はこの日はじめて屋上から空を見上げて、はじめて滲んだ青とゆっくり流れる雲をまぶしいと思った。
邪魔されたからもう飛ぶ気も失せていた。