最後の言葉
 17歳と16歳、それが修くんと私が子供をつくった歳だった。

 昔から周りの期待に応えられず、血縁から蔑まれていた私と、
 生まれながらに自分の父親を知らず、母親にも愛されなかった修くん。

 でも、そんな不恰好で孤独な二人は、不恰好で孤独だからこそ惹かれ合い、
 どこか満たされない現実から逃げ出すように、駆け落ち同然で家を出てしまった。

 だけど、高校を辞めて飛び出した世の中は、子供が生きていくには厳しすぎて、
 待っていたのはあまりに惨い現実の数々だった。

 働いても働いても、生きていくのに精一杯。
 だけど、生まれてくる子供のためなら、そう思って頑張っていた。
 なのに、ひょんなことから身体を壊したせいで、私たちの子供は生まれる前にその命を終え、
 さらに私は、ニ度と子供の埋めない身体になってしまったのだから。

 そうして愛を知らない私たちは、ようやく手に入れようとしていた愛すべき何かを失い、
 そこから、私と修くんは少しずつ、少しずつずれていったんだ。
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