夏葵 -Aoi-
プロローグ
右は海。
左は山。
急な坂道を自転車で勢いよく下る。
ああもう、蝉がうるさい。
ああもう、風のせいで髪がぐちゃぐちゃ。
でも今は蝉とか風とかどうでもいい、
だって、だって、
あいつが
あたしのことっっ……
「………えっちょっブレーキ効かない!!!
きゃああああああぁぁぁあぁぁぁ……」
好きとかゆーからっ!!!
頭ん中あいつばっかりだよ!!!