夏葵 -Aoi-


テンパりすぎて頭がおっつかない。
よくわからない。
わかるのは、目の前のけーごがりんごみたいにあかくなってることと、あたしが今逃げ出したい衝動に駆られてること。


「おーい、フリーズですかー?」
けーごがあたしの顔の前で手を振っている。


ガシャンッ

あたしは自転車にまたがった。


「……ごめん、ちょっと、考えさして、」
心臓がばくばくしてる。
走ったあとみたい。


そしてあたしはけーごを置いて、自転車を猛スピードで漕いで帰った。


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