【短編】甘い罠
―ガチャッ
「あっ、よかったまだ居たっ!」
突然開いた扉にびっくりして、流れていた涙が止まった。
見てみるとそこには来るはずの無い亮太君が居た。
「あれ、どうかした?・・・って、な、・・・んで泣いてんのっ!?」
びっくりした表情をして彼は私の方へ近づいてきた。
私は恥ずかしくて俯いてしまった。
すると視界に入った彼の足元。
二人の間に小さな沈黙が流れた。
俯いてしまった私は完全に顔を上げるタイミングを見失った。
そんな私に気づいたのか、彼が最初に沈黙を破った。